いもうとかいぎ 石黒 亜矢子 (著)
【どんなおはなし？】
妹たちが集まって、お姉ちゃんに対しての日常の不満をぶちまけたり、懲らしめ方を話し合うおはなし。
【おすすめポイント】※ネタバレあり
この絵本、盛り上がること間違いなしです！（笑）
石黒亜矢子さんによる不思議なタッチと世界観で、子どもたちは一気にこの絵本に引き込まれます。
冒頭は、猫の妖精のような女の子が、お姉ちゃんへの不満を爆発させるところからスタート。「ねぇねは、ズルい！」とカンカンに怒っています。
さっそく、同じようにお姉ちゃんがいるダンゴ虫や金魚、女郎蜘蛛の女の子が集まって、「いもうとかいぎ」を開くことに。このキャラクターたちがまた、ちょっと不気味なのにすごくカワイイんです。
会議では、「玩具・おやつの横取り」や「お手伝いの押し付け」、「おさがりばっかり」など、上の兄弟を持つ人なら誰しもが共感できる議題のオンパレード。妹たちも、「ズルいねぇ。」「ズルいズルい！」と共感の嵐。
次第に会議は、「お姉ちゃんをどうやって懲らしめるか」という議題に。「水をかけちゃうのはどう？」「糸でぐるぐる巻きにしちゃうのは？」
ところが主人公の女の子はだんだん、ねぇねを懲らしめるのがかわいそうに思えてきます。そこへ雨が降ってきて、傘を持っていない妹たちは立ち往生。
しばらくすると心配したねぇね達が傘を持って迎えに来てくれて、今までの横暴を謝罪。めでたく仲直り、というハッピーエンドです。
この絵本、読むだけでも十分に子どもたちの興味を引き、楽しいのですが、本当に面白いのはここから！（笑）
子どもたちの中に、お兄ちゃんやお姉ちゃんがいる子がいたら、日頃「ズルい」と思っていることを発表してもらって、「おとうと＆いもうとかいぎ」を開催しましょう！（笑）
３歳児から５歳児まで、想像以上に手が上がります！（笑）
「買ってもらったお菓子を全部食べちゃった。」「部屋に入っちゃダメって言う。」「アイフォンを貸してくれない。」などなど・・・。（笑）その子の家庭事情まで伝わってくるようなリアルな不満が続々出てきて笑ってしまいそうになるのですが、弟・妹たちはいたって真剣！おのずと会議はヒートアップします。もしその場にお兄ちゃんやお姉ちゃんがいるのなら、兄・姉の言い分も聞いてあげましょう。
会議の内容は、迎えに来た保護者との絶好の会話ネタに（笑）
読み終わった後が本当に楽しい、そんなオススメ絵本です。
【読む時のポイント】
とっても盛り上がる「おとうと＆いもうとかいぎ」ですが、不満を言い合う機会なのでフォローもとても大切です。「それはたしかにズルいよねぇ。」と共感したり、「それはお姉ちゃんにもこういう理由があるんじゃない？」と代弁したり・・・。上にも書きましたが、その場に当のお兄ちゃん・お姉ちゃんがいる場合は、その子たちがみんなの前で傷つかないように配慮してあげることが大切です。また、一人っ子の子どもへの配慮も重要！兄弟の代わりにお父さん・お母さんへの不満を発表してもらうなど、みんなといっしょに会議に参加できるようにしてあげましょう。
先生の立場はまるで明石家さんまのようなベテラン司会者！時に共感し、時にフォローを入れながら、兄弟間の溝が埋まるような機会を作ってあげられるといいですね。
