【絵本】むれ【笑いの後に訪れる、優しいメッセージ！】

【どんなおはなし？】
アリや羊などのたくさんの群れの中に、一匹だけ違う個体がいる絵本。

【おすすめポイント】※少しネタバレあり

ひつじ、ひつじ、ひつじ、ひつじ・・・。
鳥、鳥、鳥、鳥・・・。
アリ、アリ、アリ、アリ・・・。
ページいっぱいに描かれた、たくさんの「むれ」。その中に１つだけ、他とは違うものが混ざっています。

１匹だけ毛が無いひつじや、１匹だけ走っている鳥など、すぐに見つかるものから、なかなか見つからないものまでさまざまです。

作者でありお笑い芸人のひろたあきらさんによる、繊細でユニークな表現も光ります。
「雨」のむれには１粒だけ「だれかのなみだ」が。
「かみなり」のむれには１つだけ「優しいかみなり」が。
「宇宙人」のむれのページでは、１匹だけ「ぴぽぷぽぺ」が。
「ぴぽぷぽぺってなに！？（笑）」と、子どもたちは目を輝かせて「ぴぽぷぽぺ」を探します。（笑）

大切なのは、そのどれもが「まちがい」や「仲間外れ」として表現されているのではないということ。
そのことは、最後の「アリ」のむれで明確に描かれています。

数えきれないほどたくさんのアリの中にいる、１匹だけ反対方向に向かっているアリ。
むれから離れて１匹だけになっても、そのアリは他のアリとは異なる方向へひたすら進み続けます。
ひたすら進んだその先の光景に、子どもたちは大盛り上がり！大人はじんわりと心が温かくなります。

何があるのか、ぜひ手に取って子どもたちと一緒に読んで確かめてみてくださいね。

【読むときのポイント】
細かいむれの絵が特徴の絵本なので、広いホールなどで大人数の前で読むのにはあまり向きません。多くても十数人くらいでこじんまりと読むのがおススメです。（笑）
また、１匹だけの個体を「いた！」と見つけるのが楽しい絵本でもあるので、以前読んで「１匹だけ」がどこにいるのかを知っている子どもには、他の子にむやみに場所を教えないように働きかけるといいかもしれませんね。

最後に！宇宙人のむれには確かに他とは明らかに違う個体がいるのですが、それが「ぴぽぷぽぺ」なのかどうかは明言されていないので、そのあたりの曖昧さも楽しんでみてください。（笑）